わたのまち、応答セヨ
企画・プロデュース:土屋敏男
監督・撮影・編集:岩間玄 語り:岸井ゆきの
「モノ作り」の未来を照らす愛と情熱と熱狂の旅の記録
「街の繊維産業に光を当てる映画を作ってほしい」と市の依頼を受け、三河・蒲郡市を訪れた監督は途方に暮れた。1200 年前、日本に初めて綿花がもたらされた街。かつては衣類が飛ぶように売れ、織機の音が鳴り響いていた。しかし、活気は失われ、そこにあるのは、街の構造的な問題と人々の諦めムードだった。映画制作は難航を極める。そんな中、わたを種から育て紡ぐ80歳の職人と出会い、映画作りがその職人の背中を押し、街を揺さぶり、人々の眠っていた情熱が燃え上がっていく。そして、舞台は蒲郡からロンドンへ怒涛の如く展開し、日本のモノ作りの本気が、海を越えて人々の心を掴み、「繊維の街」 に奇跡をもたらす。『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』でデビューした岩間玄が、「進め!電波少年」などのテレビ界の伝説的プロデューサー・土屋敏男とがっぷり四つに組んで贈る感動のドキュメンタリー。語りは『ケイコ 目を澄ませて』で数々の賞を受賞した岸井ゆきの。これは決してこぢんまりした産業映画ではない。それどころか、作り手も被写体も予想だにしなかった方向に転がり出し、予定調和を次々と破壊する再生と復活への狼煙の物語である。